「勉強する学生が欲しい」経団連、通年採用の本音

表題は、日経新聞電子版の記事の見出しです。

長く続いた就活ルールが終わろうとしています。日本独特の慣習だそうですから、無くても問題はなさそうですが、長年の慣習だけに、変化に慣れるには時間がかかるでしょう。いろんな専門家が考えに考えた結果でしょうから、私が語るのは差し出がましいのですが、バブル絶頂期にゆるーい就活をした、一社会人として考えてみたいと思います。

一括採用のメリット

通年採用が当たり前の世界からすると、日本の一括採用は異様に映るようですが、婚活で見られるお見合いのように実に親切なシステムだとも思えます。通年採用が恋愛結婚で、一括採用が(集団)見合いだと考えると日本人としては受け入れやすいのではないでしょうか。

計画的に採用したい企業側と学業を終え仕事に就きたい学生を結びつける実に合理的なこの仕組みがなくなるとどうなるのか?間違いなく今まで以上のエネルギーが必要になるでしょう。なぜなら、合理的にできた仕組みですから、そこにかかるエネルギーも省力化されてきたはずです。

学生側からすると、ルールに従って行動しさえすれば訪問する機会も得られるし、窓口も構えられています。
企業側も定期採用を就活解禁日に合わせてスケジューリングすることで、採用コストを最小化できるなど、双方のメリットが存在しています。

規制がなくなる今後は、双方が自分でスケジューリングして活動することになる訳ですから、就活にかかるエネルギーは間違いなく増すでしょう。

通年採用で起こる現象は?

企業と学生

混乱が予想されますが、これをビジネスチャンスにする企業の活躍も期待されるでしょう。企業と求職者を結びつけることを生業としている企業さんにとっては、一括採用の仕組みに奪われていた市場が一気に広がるんですから楽しみなのではないかと思います。

そして、そのこともあって、今回の規制撤廃は企業側にはコスト増の変革になるかもしれませんが、学生にとっては仲介する企業の存在で混乱は最小限に抑えられると思います。企業側より学生側に、有利というかお得な変革になるのではないかと思うのです。

特に、留学で力をつけたい学生にとっては、完全スケジュール化されて一括採用は迷惑な仕組みだったと思います。なので、今後は留学する学生が増えるのではないかとも思います。自由度が欲しい学生は、自分のスケジュールで自分の責任で行動し、ある程度合理的な仕組みの中で就活したい人は、仲介業者のサービスを利用して就活すればいい。全員が一斉に決まったスケジュールで行動していた就活が、学生にとって自由に選択できる仕組みになるのかなぁ?

大企業と中小企業

人間そうすぐには変われないもの。やっぱり大企業信仰はすぐには崩れないでしょうね。学生にとっては、一括採用がなくなると、ますます大企業優先で活動できる機会が持てるでしょう。採用スケジュールも大企業主導で強気の活動ができるものと思われます。

大変なのは中小企業。ますます、人材確保が難しくなるような気がします。新卒採用にこだわらなければ、中途採用ということになりますが、それなりにキャリアを積んだ人を採用するとなると労務費もそれなりになります。大企業にとってはメリットもありそうですが、中小企業にとっては不利な変革になりそうな気がします。

期待されること

年功序列が崩れ実力主義が広がる傾向にありますが、今後はますますその傾向が加速するでしょう。新卒も中途もなく、人材が流動的になります。そうなると企業は即戦力を求めます。実力主義の環境になるはず。となると、新卒といえども実力を身につけなければならず、そのためのインターンシップ活動が増えるでしょう。

私などの時代より、学生さんにとっては自由ではあるものの、大変な時代になると思います。今までは用意されたレールに乗れば、それなりに安定した未来を描けました。今後はレールがなくなるのだから、なぜ学ぶのか?なぜ働くのか?明確に目的を持って活動しないと、「あれっ?こんなはずでは…」という結果にもなり得ます。

通年採用をうまく活用できるように、抜かりなく準備をした学生が成功するのだと思います。その助けになりそうな本を一つご紹介しておきます。私が学生の頃に読んでいれば(発刊されていませんでしたけど)、もっといい人生を歩めただろうと思わされた一冊です。就活前の学生さんに、是非、読んでいただきたいと思います。