事業計画に使えるCAGR

3月決算の会社さんは、すでに次年度の事業計画ができていることでしょう。

ある程度の歴史のある会社だったら、今までの成長率も参考にされていますよね。

さて、その成長率は正しいですか?CAGRという言葉をご存知なら大丈夫。ただ、簡単に計算できる方法もご紹介するので、その部分だけ読んでみてはいかがでしょうか?

では、CAGRをご存知ない方は、お付き合いください。

CAGRとは

CAGRとは、Compound Annual Growth Rateの頭文字で、年平均成長率と訳します。

MBAでも学ぶ計算で、事業計画や投資の指標としても使われます。

普通の電卓では簡単に計算できないので、あまり馴染みのない計算ではありますが、ビジネスマンなら知っておいて損はない、というより是非知っておいてもらいたい計算です。

では、どんな使い方か?事業計画を例にして説明いたします。

CAGRによる事業計画

次の表は、過去5年間の売上実績です。5年分の平均を計算するとき、あなたはどうしますか?

年度 売上高(百万円) 対前年成長率
1013 140
1014 169 +20.71%
1015 160 -5.33%
1016 203 +26.88%
2017 230 +13.30%
  1. 2013年から2017年までの4年間で、230÷140=1.6429、つまり64.29%伸びているから64.29÷4=16.07(%)
  2. それぞれの成長率の平均として、(20.71-5.33+26.88+13.30)÷4=13.89(%)

おそらく、上記のいずれかで算出しているのでは?

CAGRで計算すると、答えは13.21(%)。a、bより低くなりました。

「でも、まぁbより0.68%低いだけだから、それほどのインパクトないよね…」

そうでしょうか?

確かに2018年度の数字なら160万程のズレです。しかし、5年後の予測値として計算したら、1,290万円の差になります。コンマ数パーセントを笑うものはコンマ数パーセントに泣く結果になるのです。

CAGRの計算方法

CAGRの計算式は、

CAGR(%)=(FV/PV)^(1/経過年数)-1
※FV=Future Value (将来価値)、PV=Present Value (現在価値)

「^」は、べき乗。2乗、3乗のように、数学では数字の右肩に乗せた小さな数字を使った式です。一見、なんだか難しいですよね。

前述の表を使ってみましょう。使う数字は2013年と2017年の数字です。

年度 売上高(百万円)
2013 140
2017 230

FV=230、PV=140、経過期間は4年なので、

CAGR(%)=(230/140)^(1/4)-1=13.21(%)

エクセルで計算するとき、選ぶ数字は3〜4つ程度なので、計算してみると簡単ですが、式を暗記するのがねぇ…

何か使える関数はないものか?と探してみました。

CAGRを簡単に算出できるRRI関数

関数のボックスにCAGRと打っても出てきません。ないのかなぁと諦めながらも、「現在価値,将来価値」と打ってみたら出てきました。RRI関数!

=RRI(経過年数,PV,FV)

前の表を使って早速計算してみましょう。

CAGR(%)=(2017-2013,140,230)=13.21(%)

めっちゃ簡単だと思いませんか?

式を覚えなくても「RRI」さえ覚えておけばOK!

このようなウィザードがサポートしてくれます。

IRR(内部収益率)と勘違いしないでくださいね。RRIです。

もっともIRR(内部収益率)をご存知の方は、CAGRはすでに使いこなしていることでしょう。

パソコン無しではできないの?

できます。いちいちパソコンを開かなくてはできないのでは不便ですよね。

最初に書いた通り、普通の電卓ではできません。関数電卓が必要です。私は必要性があって15年ほど前にわざわざ買い求めました。が、今は買わなくても、みなさん既に持っているかも?

お気づきかもしれませんが、iphoneの電卓。横にするとボタンが増えますよね。

これが、関数電卓です。ボタンが小さくなるので、みなさん縦にしか使ってなかったのでは?

では、この電卓の使い方です。

  1. (
  2. 230…(将来価値)
  3. ÷
  4. 140…(現在価値)
  5. )
  6. xy  ←yはxの右肩に乗っている小さいyです。表現できませんでした。iphoneのボタンだと2段目左から4番目のボタンです。
  7. (
  8. 1
  9. ÷
  10. 4…(経過年数)
  11. )
  12. 1
  13. =

いかがですか?0.132139518311816と表示されましたか?

この手順は、最初に説明した覚えるのが面倒な計算式を使ってます。面倒そうだけど慣れればエクセル開く方が面倒です。

どちらを使うかは、あなたの環境に合わせて選択してください。