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就活ルール見直し

経団連会長、就活ルール廃止を発表 政府会議で議論へ(日経新聞記事より)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36255980Z01C18A0000000/

通年採用が当たり前の諸外国の中で、新卒一括採用を続ける日本。いよいよ変化の時が近づいているようです。

戦後〜高度経済成長期

一括採用が本格的に始まったのは、1923年の関東大震災のようで、震災による不況から買い手市場となり、筆記試験や面接といった今の入社試験の形式が整えられました。1950年の朝鮮戦争をきっかけに好景気に転じます。労働市場は売り手市場になり、企業は優秀な人材に長く勤務してもらうために「終身雇用」や「年功序列制度」を積極的に取り入れるようになりました。ちなみに、まだ、この時代は大学からの推薦が一般的で、今のように学生が企業に対して就職活動するようになったのは、大学紛争後のことです。就職斡旋企業などの情報産業が発達し始めたことも、学生の自由な就職活動を可能にしました。今の就活スタイルはこの頃に固まりました。

バブル期

バブル絶頂時期に卒業を迎えた私は、就活に苦労した覚えがありません。交通費・宿泊費も会社持ち。会社を訪問する朝には、ホテルまでお車のお出迎え。帰りには、「荷物になってすみません」と言われてお土産を持たされたものです。就職氷河期を経験した方には、とても話せないような狂った時代でした。もはや「就職協定」は機能していないに等しく、有名大学の学生は3年生の時点で企業から「内々定」をもらうことすらありました。

就職氷河期

1991年、バブル経済が崩壊するにつれて、企業は経済活動を縮小し、新規求職者にとっては「就職氷河期」と呼ばれる厳しい時代が続くことになります。求人が殺到するなかで優秀な学生を見極められるよう、企業はさまざまな選考制度を設けました。エントリーシートが採用されたのもこの頃です。買い手市場の中で、外資系企業などは激しい自由競争のもとで優秀な人材の確保に乗り出しました。そのため、毎年のように就職活動開始の日程が変わり混乱を来しています。

協定のメリット・デメリット

一括採用に関しては、企業側にも新卒者側にもそれぞれメリットがあります。企業側は「一度に多くの学生の中から選べる」、「採用後の教育計画が立てやすい」など。新卒者側は「希望の会社を探しやすい」「卒業後、経済的にすぐ自立できる」など。これらを見ると、何も見直す必要は無いように感じます。しかし、その時の景気によって、つまり運・不運で、新卒の就職が決定されるのは公平とは言えません。その点、新卒に限らない通年採用であれば、少しは問題も緩和されるでしょう。

雇用の変化

長引く不況は経済界だけでなく政治の世界でも最重要課題となっています。正社員から非正規社員へ、長年続いた終身雇用制度が崩壊したことがきっかけで働き方の多様化が注目されるようになりました。毎年総務省が発表している『労働力調査』によると1983年には全体のわずか15.3%であった非正規雇用者は年々増加し、2015年には37.5%と過去最高の数字を記録しています。「同一労働同一賃金」を旗印に非正規雇用の問題をすり替えているようにも感じますが、離職率も年々増加し、企業も新卒採用一辺倒ではなく知識や経験がある既卒者の中途採用に力を入れているのが現状です。2016年には大手企業Yahoo!Japanが新卒一括採用を撤廃しました。今後もそうした企業が増えていくことが予想されています。

就活ルールの見直し

情報収集が容易でなかった時代の就活は、「駅に着いた、おおよそ自分が目指す方向に走る時刻表どおりの列車」に乗るようなもので、用意された場所に時間通りに乗れれば、あとは定年まで、レールの上を移動していける…そんなものではないでしょうか?スマホで容易に情報収集、情報発信できる現代では、レールなんか無くとも、「好きな場所から、あらゆる方法で好きな目的地に向かう」…そんな就活ができるような気がします。

環境が変化しているのですから、就活のルールも変化して然るべきではないかと思っています。いずれにせよ、時代の運・不運では無く、平等なチャンスが与えられることが重要で、そのためにルールの変更が必要なら是非やるべきでしょう。皆が、生き生きと働けるよう、改革が行われることを望みます。

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