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「トマト缶の黒い真実」を読んで

取引先の社内で、社員さんに紹介されていた本が気になって読んでみました。

時系列が解りにくく、読みにくい本でしたが、いやー、衝撃的でした。トマト缶の実態。トマトだけなのかなぁーと心配になります。書評ではありませんが、思うところを!

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原産国って

実際、原産国(生産国)って曖昧なんですよねぇ。原産国が韓国でも、日本でパッケージされた場合や、日本企業が生産委託した場合には、原産国は日本ってことになります。JANコード(注1)も日本のものになるので、日本で生産されたと誤認しちゃうんです。で、JANコードとは、


ご覧のような仕組みです。①の頭2桁の数字は、日本の場合「49」か「45」で国を表します。
②の部分がメーカー、③の部分が商品、④がチェックデジット(注2)となります。
なので、同じメーカーの商品であれば、②までの7桁は同じです。それ以降は商品ごとに違うってことになります。一度、お店で確認して下さい。「えっ、日本じゃ無いのかー」て食品が結構あるかもしれません。

ちなみに、日本では、輸入品について、原産国の表示が義務付けられています。なので、基本的には判るはずなのですが、たまに表示されていない商品があるんですよねー。「KALDI」とかで探してみてください。ん?ってことあります。その場合、JANコードからあたりをつけることは出来ますが、ちょっと心配ですよね。

とまぁ、原産国について触れましたが、消費者庁の「新たな原料原産地表示制度に関するQ&A」に気になる文言があります。

原料原産地名って

《輸入品(輸入後の国内での加工行為等が、実質的な変更をもたらしていないものを含む。)については、従来どおり輸入品として「原産国名」の表示が必要であり、原料原産地名の表示は必要ありません。》
平成29年9月1日より、新たな加工食品の原料原産地表示制度が始まりましたが、輸入品については、従来どおり、「原料原産地名の表示は必要ありません」なのです。

だから、粗悪な原料でも、有名産地の工場を経由すると商品価値が上がる可能性があるってことです。どんなトマトも添加物で調整し、イタリアのトリコローレカラーのパッケージに包まれると、美味しそうな商品に変身するわけです。

私たちは、産地に影響されますよね。有名産地の食材は、それだけで美味しそうに感じます。だからパッケージ一つで騙されてします。なのに、原料原産地が判らないって危険です。

原料の表示

アフリカで流通する中国産トマトペースト缶の原材料表記は「トマト・塩」となっていますが、実際は、トマトは半分も入っておらず、添加物によって調整されているそうです。その添加物は、大豆食物繊維、ニンジンパウダー、デンプン、デキストロース、着色料などで、7割近く入っている製品もあるとか。ほんと、添加物の塊です。

ちなみに日本では、「トマト加工品品質表示基準」というものが平成12年から改定を続けながら施行されており、添加物まで詳細に記載することを義務付けているようです。なので、大丈夫とは思いますが、関心を持って商品を選びたいものです。

添加物

最近は、添加物=「悪」と考え、無添加商品に拘る方も多いようです。もちろん、前項の7割も含まれるのは問題ですが、何ごとも程々が良いかと思います。

まずは、添加物の意味を知ることも必要ではないかと。例えば、酸化防止剤:アスコルビン酸などと書かれると、いかにも薬品って感じですが、誰もが知ってるビタミンCの正式名称。ライナス・ポーリング博士(ノーベル化学賞受賞者)の文献では、ビタミンCの過剰摂取は、風邪の予防やガンに聞くとさえも。確かかどうか分かりませんが、副作用で病気になったという報告もないようです。ただ、ビタミンCは蓄積できず、過剰な量は尿から排出されるのは確かなようです。(確かに、ビトンハイを飲むとおしっこが黄色くなりますね。)というわけで、アスコルビン酸という添加物に目くじらをたてるのが意味不明なのです。

もちろん、過剰になると問題がある添加物もあります。例えば、亜硝酸ナトリウム。過剰に摂取すると発癌性があることが確認されています。亜硝酸を添加物として使う代表的な加工食品がソーセージです。ソーセージの亜硝酸は、発色剤とボツリヌス菌対策の2つの機能を持っています。ボツリヌス菌は嫌気性(空気を嫌う菌)です。真空包装で流通するソーセージに、亜硝酸は必要な添加物なんです。亜硝酸=発癌性のイメージで、ソーセージを敬遠する人もいるようですが、実はほうれん草の方が遥かに含有量が多いのです。なのに、野菜をしっかり摂りなさいと子供に勧める。可笑しいですね。自然界にも存在するんですから、少量であれば問題ないってことです。

だから、添加物は程々がいいかと。添加物の性質を知ることが大切かと思います。子供のために添加物を一切排除しようとする親御さんもいらっしゃいますが、それもどうかと思います。無菌状態で子供は育たないように、程々の量(害の無い量)であればいいのでは無いかと勝手に思っています。というのも、私の子供が、ほとんど病気もせずアレルギーも無いのは、小さい時に頻繁に動物園に連れていったことで、いろんな動物の菌に対する抗体ができたからではないかと思っているからです。あながち間違いでもないような気がするのですが如何でしょう。

都市伝説

もはや都市伝説レベルの話。

コカ・コーラを飲むと骨が溶ける。
コカ・コーラに動物の骨を入れて、証明する例もありますが、100%のオレンジジュースでも同じ現象がおきます。が、そもそも、体内の骨がどうやって溶けるの?内臓のどこかが破けて骨に触れているならともかく、ねぇ。

牛乳を飲むと骨が強くなる
多くの人々が「乳製品」と「カルシウム」とを混同し、乳製品が健康で強い骨をつくると考えているとのこと。たしかに乳製品はカルシウムを含んでいますが、緑の濃い野菜にも、含まれています。また、牛乳は他の牛乳代替食品と同様にビタミンDで補強されていますが、健康な骨は、カルシウムやビタミンDだけでできるわけではなく、ビタミンKが必要。ビタミンKは、緑の濃い野菜には含まれていますが、乳製品にはありません。また乳製品に含まれないマグネシウム(アーモンドやカシューナッツ、オートミール、ジャガイモに含まれる)も、骨の健康に重要な役割を果たしています。

情報収集は大切ですが、間違った情報に侵されないことも大切ですね。

食の安全

本書では、アフリカで流通する中国産トマトペースト缶には、濃縮トマト31%、添加物69%で美味しく仕上げるレシピが存在すると紹介されています。こんな事実は普通企業秘密で、その世界に上手く侵入しないと入手できない情報でしょう。イタリアではマフィアがらみの歴史的問題を抱えていることにも触れています。危険な調査もあったと想像できます。

実際に調査して、それらの事実を組み立ててトマト缶の正体を明らかにした本書は、「トマト缶を買うな!」とは言っていません。あくまで、事実、実態をレポートしているに過ぎないのです。本書から著者のメッセージを読み取るならば、「自分たちの食べる食べ物にもっと関心を持ちなさい。」「食の安全は自分たちで確保しなさい」ってことではないかと…。

日本は安全な国だと言われ、無条件で食の安全が保証されているように感じています。厚生労働省、農林水産省、消費者庁にお任せで、日本に住むから大丈夫だと錯覚しているのかも知れません。添加物も国が認めているなら、心配ないじゃないの?とか。

国民が無関心だと、国も優先順位を下げることになるのでは無いでしょうか?国民が敏感になっている事象には、国も最優先で取り組むに違いありません。だから、最低限、自分たちの食べ物に何が入っているか?関心を持つことから始めるべきかな?と。今後は、(加工)食品の裏ラベルをよ〜く見るようにしたいと思います。

(注1) : JANはJapanese article numberの略で、国際的な共通商品コードであるEANコード(European article number)のわが国での呼称です。そして、JANコードが表す上二桁の数字は、原産国ではなくて、供給責任者の国を表しているのでお間違いなく。

(注2) : チェックデジットは、数列の誤りを検出したり偽造を防止するために用いられる数字 や符号で、「検査数字」とも呼ばれています。情報システムの整った会社だと、社員コードなどで使われているかもしれません。同期の社員コードを並べてみてください。下一桁を切ったコードで連番になっていれば、その下一桁はチェックデジットです。社員を取り違えたら大変なことです。だから、チェックデジットを運用することは大切なんです。同じ理由で、顧客コードにチェックデジットを用いている会社もあります。

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