働き方改革…声高にあちこちで騒がれていますが要は、
- 長時間労働の慢性化
- 人口減少による労働人口の不足
- 労働生産性の低迷
を解決することが喫緊の課題です。どれも簡単ではなく、組織全体で対応すべき課題です。とは言え、個人レベルでも解決できる問題があるものです。
ここでは、個人レベルでできる働き方改革を考えたく、エクセルの使い方について触れたいと思います。
何故エクセル?
問題解決に当たってエクセルの使い方とは、随分小さい話をするなぁ…と感じた方もいるかもしれません。確かに、経営レベルで考えたとき課題として浮かぶのは、付き合い残業の撲滅や無駄な会議の排除・長時間会議の是正やオペレーションのアウトソーシングなど大きなものです。しかし、ホワイトカラーとして働く方の仕事で、パソコンを使用する時間って相当な長さではありませんか?その仕事の中で、一番使用されているアプリケーションがエクセルなのです。
そのエクセル、年々進化して今や104万件を格納できるデータベースソフトとしての機能も有します。このエクセルを効率よく活用できれば、付加価値の低い業務を圧縮し、付加価値の高い業務に時間を裂けるようになるのです。
業務を効率化するショートカットや関数の使い方は他の本に譲るとして、ここでは、組織で共有することで、効率化するためのルールについてお話します。
エクセル活用7つのルール
仕事が属人的になると、その業務自体がブラックボックスになって透明性を失います。本当に正しいのか疑わしかったり、引き継ぐにも一苦労するってことありますよね。誰が見てもわかるようにスッキリまとめることができれば、誰でも代行できるし、数字の信憑性を疑われることもありません。そのコツを一つずつ説明します。
①手入力するセルと計算結果を表示するセルの色を分ける
入力セルは「黄色」、計算式で表示するセルは「青色」に統一するとか、背景色で区別することです。こうしておくと、誰でもシートの作りを理解できて、計算式が入った「青色」のセルを不用意に触らなくなります。組織のルールにしておくと、いちいち説明不要で、視覚的に触っていいセル、触ってはいけないセルの判断ができるのです。上級者にはセルにロックをかけて制御する人もいますが、最初に述べたとおりブラックボックス化へ向かうことになります。背景色のコントロールで充分だと考えます。
②計算式は参照元が判るようにする
これはタイトル通り。元となる数値がどこにあるのか?参照元が判る計算式にしてください。計算式が長くなることを嫌うのか?途中でつながりを絶って、前段階の計算結果を、次の数式に数値として入力する人がいたりします。迷子になるので、必ずセルを選ぶようにしてください。式が長くなるのはデザインが悪いから。できるだけシンプルに計算できるように工夫しましょう。
③出所が判るようにする
基本中の基本ですが、出典は分かるようにしましょう。データの信頼性を高めるとともに、誰が引き継いでも元データを探し出せることになります。自分だけ知っているではダメです。誰でも一目で分かるように表記しましょう。
④変数は専用のシートを儲けましょう
集計や分析において前提条件とした変数は、一つのシートにまとめておきましょう。変更するときにあちこち探す必要がありません。必ず、このシートの数字だけを変更するようにしておくと、再集計、再編集が容易になります。
⑤シートを3種に分ける
シートを「ローデータ」、「編集用」、「アウトプット用」の3種に分けてください。シートの色も3種に分けて分かりやすくしましょう。全てを一つのシートでやると煩雑になります。以下それぞれの注意点です。
「ローデータ」はそのままに
ローデータとは生のデータのことです。加工前のデータは残すようにしましょう。編集用シートと連動している場合は、生データの張り替えだけで作業不要になります。可能な限り、ローデータは触らないのが望ましいです。
「編集用」はプロセスが分かるように
できるだけローデータを参照して、編集のプロセス(軌跡)が分かるようにしましょう。説明を加えておくと編集の軌跡がより分かりやすく、共有を容易にします。複数の種類の編集が行われる場合はシートも複数に渡って構いません。分かりやすく作成しましょう。
この部分の共有は組織のレベルを上げます。熟練者の編集シートは、お手本になるので、詳しく解説されていることが望ましいです。できれば引き継ぎの説明は不要で、そのまま渡せるくらいにまとめられているといいですね。
先に出た「変数専用」のシートは、「編集用」の一部として配置しておきましょう。
「アウトプット用」は見やすく
アウトプットの数字は編集用シートとリンクさせておきましょう。データの変更が行われたとき、再作成する必要がありません。
編集用シートまでは、見た目をきにする必要はありませんが、アウトプットは一目で解るように構成しましょう。資料は意思決定をサポートするものです。できるだけ素早く意思決定できるように、シンプルに分かりやすくデザインしましょう。
⑥検算をしましょう。
集計に一つでも間違いがあると全体の信頼性を失います。必ず、別ルートで計算し、一致することを確認しましょう。◯×の判定があると安心ですね。
⑦見出しをきちんとつけましょう
最後に意外と疎かにしがちなのが見出しです。自身では分かるので、ついつい忘れますが、何を伝えたいのか?どんな作業をしている部分なのか?とか、細かい説明の前に見出しを付けておきましょう。新聞と同じです。より読みやすく、探しやすくなります。
まとめ
仕事を見える化は、組織の生産性向上につながります。誰がやっても一定のレベルの品質が保てますし、引き継ぎ自体がスムーズになります。今回のお話は、エクセルの見える化とも言えるでしょう。エクセル活用「7つのルール」を網羅すれば、組織としてホワイトカラーの生産性が向上します。属人的になりがちな、エクセルによる集計や分析。是非、運用ルールを共有してください。