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ESGマネー世界で31兆ドル

ちょっと前の日経新聞の記事より

ESGを重視する投資家の資金量は急拡大している。世界持続的投資連合(GSIA)によると、2018年のESG投資額は世界で約31兆ドルと16年比で34%増加した。年金基金や政府系ファンドなどがESG重視に転換するなか、運用資金を受託するために運用会社もESG投資を推進せざるを得なくなっている。

ESGを重視する投資家の資金量は急拡大している。世界持続的投資連合(GSIA)によると、2018年のESG投資額は世界で約31兆ドルと16年比で34%増加した。年金基金や政府系ファンドなどがESG重視に転換するなか、運用資金を受託するために運用会社もESG投資を推進せざるを得なくなっている。地域別のESG投資額は欧州が...

ESGとは

ESGとは、

  • Environmental(環境)
  • Social(社会)
  • Governance(企業統治:ガバナンス)

の3つの頭文字をとったものです。投資判断の指標の一つですが、記事ではこれが年々重要性を増しているってことですね。つまり、環境に配慮していて、ステークホルダーに社会的責任を果たしていて、不正や事故が起こらないように企業内がきちんと統制されていることを評価する軸なんです。企業の目的が、ゴーイングコンサーン(永続企業)であることを考えるとそれぞれ大切な要素です。

SRIとの違い

ESG投資とSRI(社会的責任投資)の違いを気にされる方もいますが、基本的に同じです。歴史を辿るとSRIが先で、1920年代のアメリカで、キリスト教の倫理観により武器やギャンブル、たばこ、アルコールに関連する企業には投資しないとする、ネガティブ・スクリーニングから始まったとされます。2000年代には、社会に対する責任を評価するポジティブスクリーニングが広がります。そうして、社会の関心の変化に合わせて企業の社会的責任の対象も変化してきたのです。つまり、社会的責任を問われる項目が現在はE(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)の項目とされているだけで、投資の対象が社会的責任を軸にしている点は同じと言えます。

社会的責任

企業の社会的責任というとCRS(Corporate Social Responsibility)という言葉が浮かびます。経済産業省のサイトでは、

CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)とは、企業が社会や環境と共存し、持続可能な成長を図るため、その活動の影響について責任をとる企業行動であり、企業を取り巻く様々なステークホルダーからの信頼を得るための企業のあり方を指します。

と記しています。

「社会や環境と共存し」の部分は、そのままESGのEとSの部分を表しています。「山地での植林活動」や「障害者支援活動」などわかりやすい活動でアピールするのをよく見ますね。そして、「ステークホルダーからの信頼を得るため」の部分がガバナンスを表している…。と考えると、そのままESGを表しているようにも感じます。

ガバナンスと内部統制

「ガバナンス」、長く使われている単語ですが、同じような意味で内部統制という単語もよく聞きます。ディスクロージャーを通じての透明性と信頼性という意味では同義のように感じますが、ガバナンスの傘の下に内部統制があるという解釈でいいのではないでしょうか。その目的を確認すると

内部統制の目的

内部統制を取り上げるときに必ずでてくるのが会計不祥事です。エンロンやワールドコムの会計不祥事により内部統制が注目されました。日本でも、SOX法の流れを受けて、金融商品取引法で内部統制報告書の作成と内部統制報告書に対する監査証明を義務付けています。

財務報告の監査が中心になっているイメージがありますが、実際には以下の4つの目的があります。

  1. 業務の有効性及び効率性
  2. 財務報告の信頼性
  3. 事業活動に関わる法令等の遵守
  4. 資産の保全

マニュアルの作成だったり、運用ルールの整備が必要で、どちらかというと守りの仕組みと言えます。

ガバナンスの目的

東京証券取引所が次のように基本原則を記しています。

  1. 株主の権利・平等性の確保
  2. 株主以外のステークホルダーとの適切な協働
  3. 適切な情報開示と透明性の確保
  4. 取締役会等の責務
  5. 株主との対話

https://www.jpx.co.jp/news/1020/nlsgeu000000xbfx-att/20180601.pdf

私たちが想像するのは、「適切な情報開示と透明性の確保」ではないでしょうか。その他にも、株主、取締役会、ステークホルダーとの関わりについても触れているんですね。積極的に株主やステークホルダーに働きかけることから「攻めのガバナンス」という言い方をする場合もあります。

ガバナンスと内部統制の違い

上記の通り、同義のようで表現は全く異なります。

サッカーに例えると、守り(内部統制)がしっかりしていないと、安心して攻め(ガバナンス)ることができないというようなことではないかと思います。守りがしっかりしていないと勝てませんよね。だから、内部統制は絶対なんです。内部統制が機能して初めてガバナンスを効かせることができる、と言えばいいでしょう。そういう意味で、冒頭では内部統制はガバナンスの傘の下にあると表現したわけです。

まとめ

投資家でなくとも、ESGの重要度が増していることは感じるのではないでしょうか?環境にいいもの(土に還る容器とか)が売れたり、エコバッグも持つお客が増えていたり、すでにお客の購買行動に顕在化しています。今後、益々その重要性は高まることでしょう。ESGもCSRもコンプライアンスも、全ては、ステークホルダーの信頼を得るための活動指標です。それがゴーイングコンサーンに繋がります。投資云々ではなく、高めていきたいですね。

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