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大間のクロマグロ/1匹3億3360万円を考える

日経新聞1/5夕刊の記事より

新春恒例の初競りが豊洲市場(東京・江東)で開かれ、青森県大間産のクロマグロが1匹3億3360万円の史上最高値で競り落とされた。13年に付けたこれまでの最高値(1億5540万円)の2倍で、1キロあたり120万円。すしチェーン「すしざんまい」を展開する喜代村(東京・中央)が落札した。

………………

3億円のマグロは「すしざんまい」の本店などで提供した。すしに換算すると1貫平均2万4千円程になる計算だが、中トロ1貫321円など通常の価格で振る舞うという。木村社長は「お客さんが楽しみにしているからどうしても競り落としたかった」と話した。

ご祝儀価格?

ご祝儀価格とか言われますが、このマグロを使うと一貫平均2万4千円…。そんなマグロ買う意味が分からない…と言いたくなります。

落札した株式会社喜代村の年商は約300億円。年商300億円の企業が、ご祝儀目的で3億円も出すはずがない。それなりの見返りがあるから出すわけです。

その辺りをマーケティングの観点から見てみようと思います。

マーケティングミックス

マーケティングミックスは一般に4P

  • Product(製品)
  • Price(価格)
  • Place(流通)
  • Promotion(プロモーション)

で語られます。それぞれ当てはめると、

  • Product(製品)
    • 寿司ネタの象徴である(大間の)マグロであること
  • Price(価格)
    • 破格の高額仕入原料を通常価格で提供することによる割安感の演出
  • Place(流通)
    • 新しい「日本の台所」である豊洲市場を舞台に選んでいること
  • Promotion(プロモーション)

Promotion(プロモーション)については、次に触れたいと思います。それにしても、「最高の商品」を「最高の価格」で「話題の豊洲」にて競り勝つというのは、寿司チェーン店にとって最高の仕掛けではないかと感じます。

プロモーションミックス

プロモーションミックスとは、商品訴求を最大化させるために、プロモーション手段を効果的に組み合わせることです。その種類には

  • 広告
    • 有料メディア(テレビ、新聞、雑誌など)を用いて行う宣伝活動
  • 人的販売
    • 実演販売(販売員によるコミュニケーション活動)
  • パブリシティ
    •  広告によらない広報活動(メディア側の取材など)
  • セールスプロモーション
    • 製品やサービスの販売を促進するための短期的インセンティブ。

などがあります。これらは、トレードオフの関係にはありませんので、費用対効果を考えて、一部ないし全部実施することです。

今回の例は、お金は商品に払って、パブリシティという公共性を感じる手法で、様々な有料メディアに乗せるという手法が取られています。面白いです。

費用対効果は?

では、3億円が見合う効果があるのか?

テレビCMの露出を表すとき「GRP」という単位が用いられます。GRPとは、Gross Rating Pointの略語で、「延べ視聴率」を意味しています。大体の数字ですが、東京キー局で1GRP=10万円と言われますので、3億円だと3000GRPに相当します。では、3000GRPがどのくらいの露出かと言うと、秋口のジョージアコーヒーのキャンペーンが期間中約3000GRP。2007年にキリンビールがプレミアムビールを発売した時は、発売前に2000GRP、発売後に3000〜4000GRPの広告が投入されました。この規模になると、繰り返し刷り込まれ、誰もが知るレベルの広告効果になります。

加えて、ラジオ、新聞、インターネットニュースやSNSニュースでも、大々的に伝えられることを考えると、3億円は妥当どころか、安く感じませんか?おそらく、この話題によって「すしざんまい」と言う名前は、多くの人の記憶に刷り込まれたことでしょう。

以上、私の後付けの分析です。「すしざんまい」さんが実際のところ、どう考えているのかわかりません。ただ、ありとあらゆる媒体に載せるには、適した方法かもしれません。勇気がいりますけどね。

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