若者の人生変えるAI 丸の内より渋谷の方が抵抗強く 恋愛や人材探しもAIアプリが取り持つ時代に
実に興味深い記事だと思いました。
ムーアの法則を超えたスピードで、技術が進歩している以上、生きている間に現実になるんだろうなぁ。変化に対応するには一生勉強ですね。
日経ヴェリタスの記事です。↓
以下、全文
若者の人生変えるAI 丸の内より渋谷の方が抵抗強く 恋愛や人材探しもAIアプリが取り持つ時代に
日経ヴェリタス 2018/3/8
人工知能(AI)が人間にどんどん近づいている。三菱総合研究所の予測によると、2025年にヒトと自然なコミュニケーションができるようになり、2030年ごろにはAIが「人格」を備える可能性すらあるという。
感情を持つAIが登場したとき、人間とAIは深いコミュニケーションをとれるのだろうか。もっと言えば「人間はAIをどこまで愛せるのか」。それは人間とAIとの関係を測る、究極の問いかけだ。
東京・丸の内と渋谷とで「AIをどこまで愛せますか?」と街頭インタビューしてみた。事前予想では、丸の内に勤める会社員には「AIと恋なんてできるわけがない」と一笑に付される一方で、若者の多い渋谷ではそれなりに肯定的な回答が得られると踏んでいた。
若年層は「人とのつながり」を重視
しかし、結果は意外だった。丸の内より渋谷の方が、AIに対する疑いや抵抗感が強かったのだ。
オフィス街の丸の内では「AIにはしがらみのないコミュニケーションを期待できるのではないか」(40代男性)、「筋道の通った理想的な会話ができそう」(20代女性)といった肯定的な意見が多く聞かれた。
渋谷は違った。ある男子高校生はやがてAIが人間の職を奪う将来が来ることを危ぶみ、「機械やAIには好感が持てない」と話す。20代介護士の男性は、日々の介護経験を踏まえて「人間関係の細かいところをAIがマネできるとは思えない」と語っていた。渋谷の方がよほど保守的だと感じた。
もっとも若年層が、AIを全否定しているわけではない。SNS世代の若者が重視する価値観は「人と人とのつながり」だ。そのつながりを求めるためにAIを積極活用する動きはむしろ増している。
AI婚活アプリの料金は男性3900円
サイバーエージェント(4751)傘下の婚活アプリ会社で社長を務める寺田遥氏(35)は、「SNSでつながり合う若者は『人間関係を壊したくない』との心理が強く働き、職場や学校といった実際のコミュニティから結婚相手を探すのを避けたがる」と話す。身近なコミュニティが結婚相手の対象から外れるとなれば、見知らぬ人々の中から相手を探さなければならない。
そこで寺田氏が考え出したのが、人としての価値観の近い2人をAIがマッチングするサービス「aite(アイテ)」だ。利用者はサービスに登録すると、AIの女性キャラクター「結(ゆい)」さんとスマホでやりとりしながら、自身の価値観や好みに関する質問に答えていく。質問は「結婚しても仕事を続けたいか」や「好みのご飯の炊き方は」、「休日は趣味に時間を使いたいですか?」など全部で300種類ほどあり、利用者は毎日3つずつ答えていく。
その後AIが回答を分析し、性格や価値観の一致した相手を1日に最大15人紹介する。ユーザーは気になった相手に「いいね」を送り、相手が受け入れるとマッチングが成立する。月額料金は男性が3900円、女性は1900円だ。登録ユーザーは立ち上げから2カ月で約7000人と、「順調な滑り出し」(寺田社長)という。
AIを活用したマッチングは、ビジネスの世界にも広がっている。求人サイトを運営するアトラエ(6194)が展開するのは、ビジネスパーソン向けのマッチングアプリ「yenta(イエンタ)」だ。
ビジネスの仲人アプリで手軽に人脈づくり
「この人に興味ある、なし?」――。イエンタのアプリの画面には、AIがすすめる人物の写真とプロフィル画面が表れる。1日10人ほどの人物が推薦され、利用者が会いたいと思えば画面を指で右に、会いたくなければ左にそれぞれずらす。
互いに「興味あり」を選ぶと、アプリのチャットを使って実際に会う場所と日程などを相談できる。イエンタを開発した岡利幸取締役(33)は「利用者にはランチでの交流を勧めている。夜のパーティーが多い日本の実業界に、新たなコミュニケーション文化を根づかせたい」と語る。
利用者は学歴や職歴、現在の仕事といった自分のプロフィルだけでなく、実際に会える地域なども書き込む。フェイスブックと連動しているため、匿名や偽名での交流は困難だ。手軽に人脈作りができる点が支持されて、利用者数は開始から2年で2万3000人を超えた。一部有料の機能もあるが基本的には無料で使える。
yentaは英語で「おせっかいな女性」との意味があるという。人間関係に強い関心を持ち、誰かさんと誰かさんを結びつけたがる「仲人」だ。AIが人と人とのつながりを取り持つという意味では、婚活アプリの「aite」と目指す方向は重なる。
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街頭では、AIとのコミュニケーションを楽しみたいと考える若者は少数だった。むしろ新たな人間関係の仲介役としてAIを活用するビジネスに商機があるようだ。AIに対する若者たちの疑念や警戒心を解きながら、どう事業に結びつけていくのか。AIが人格を獲得すると言われる10年後を見すえながら、企業の知恵比べが続きそうだ。
(溝呂木拓也)